2025年6月14日土曜日

2025年度春季団体戦B1級振り返り(中根)

  こんにちは、四年の中根です。

 今回は先日行われました春期団体戦B1級の振り返りを書かせていただきます。

 結果は三勝四敗で五位となり、残留となりました。都立大は私が入学以降ひたすら昇級と降級を繰り返しており、四年目にして初の残留を経験しました。昨年度から主力が抜けてしまい降級も覚悟しましたが、無事残留となりました。以下は私の対局を中心に振り返っていきます。以下本文になります。


 今回の団体戦以前の個人の戦績は昨年度の秋から関東大学将棋連盟の団体戦と個人戦を通して九連敗中だった。秋季個人戦、春季個人戦は初戦落ち。また、昨年度の秋季団体戦ではいくらA級とはいえ七戦全局出場しながら全敗と情けない成績となってしまった。主力が抜けたこともあり、チームの勝利のためには私自身の勝利は間違いなく欠かせないものだと認識していたため、今回はチームに貢献できるよう頑張りたいと思っていた。

 昨年度同様お守りとして味噌(詳しくは2024年度春季団体戦を参照)を持参した。昨年度は大学近郊の店舗で購入しており、今回は新規品を購入しようと思っていたが、その店舗の売り場からは消えてしまっていた。仕方なくインターネット上で探したが送料込みで千円を超えてしまい、そこまでして買うかどうかを悩んだ挙句昨年度の物を続投することにした、秋季団体戦には新規品を購入したい。

また、今回の団体戦では勝負服として「HITOTSUBASHI UNIVERSITY」と書かれたパーカーを採用した。現A級校の力を借りようという魂胆である。以前一橋大学の大学祭に訪れた際に購入したものであるが、他に一橋大学の方がいる中ではなかなか着用しづらく、今回がいい機会ととらえて着用することとした。着用すると頭が良くなったような気がして気持ちが良い。

 戦型についてだが相変わらず基本的に袖飛車を採用している。一部別の戦法を使用したが、すべて序盤で作戦負けに陥ってしまった。もっと序盤の勉強をしなければならないと思わされた。

 全く本題に入らない、と文句を言われそうなのでそろそろ本題に入ります。

 

第一戦 千葉大学戦

初戦の相手は小笠氏。実績多数であり、非常に警戒していた。一戦目から大変な相手とあたることになったなと思っていた。こちらの袖飛車に対してお相手は三間飛車。お相手が高美濃を志向した瞬間に仕掛けた。4四の地点で銀交換になり第一図。(便宜上先後反転)


 ここで△3六歩と歩を打ってきた。その手に対し▲3五角△同角▲4五桂と進んだ。手順に桂馬を活用できたうえ、次の▲3六飛が厳しくこちらが良くなった。歩を打たずに単に飛車を逃げられていたら、こちらの駒得のため悪くはないだろうが、まだまだ難しい形勢だったように思う。以下互いに大駒を成り合って下図。


 こうなると自玉が右に広くなかなか寄らない。また、お相手はこちらの攻めに対し自陣に駒を埋める必要もあるためより一層自玉は寄らない。以下は落ち着いて寄せ切って勝ち。

強敵相手ではあったが良いスタートを切ることができた。しかし、大学としては二勝五敗で敗戦してしまった。苦しい結果となったが落ち込んでいる場合ではない。

 

第二戦 東洋大学戦

 東洋大学とは私が一年生の時以来の対戦となる。かなり久しぶりではあるがその時はひどい将棋を指して負けた記憶があり、嫌な思い出が残っていた。ここで勝ってその記憶を払拭したいところだ。

 私の対局相手は赤尾氏。戦型は初戦同様三間飛車となった。この対局だが中盤にお相手のミスがあり一方的な銀得となった。その優勢を維持ししっかり勝ち切ることができた。個人二連勝と非常にいいスタートを切ることができた。

 私の対局が終了した時点で都立大の三勝二敗で残り二局を残していたが、どちらも形勢が苦しく、三勝四敗ペースだったため非常に焦っていた。結果としては片方がお相手氏の時間切れで運良く勝ち、もう一局は逆転勝ちを収めることとなった。結果だけ見ると五勝二敗でしっかり勝ったように見えるがギリギリだった。とはいえとりあえずチームとして一勝することができ安心した。

 

第三戦 高崎経済大学戦

 高崎経済大学とは以前二度ほど対戦経験がある。しかし、春季個人戦等には参加していないため他の大学と比べて情報が少なく、不気味に思っていた。

 私の対局相手は川井氏。対局経験はないが常に好成績を残している印象があるうえ、以前敗戦した三年の髙橋から強い方だと聞いていた。勝負を分ける対局だと認識していたため、なんとしても勝ちたいと思っていた。

 戦型は完全な力戦になった。川井氏は五筋から盛り上がってくる方針。ゆっくりしていては抑え込まれてしまうので積極的に動いていくことにした。


 第3図のようになったが、このまま放っておくと△4三金から飛車をいじめられそうである。ここは▲5六歩と反発していくところ。一方的に攻める展開でまずまずだと思っていた。以下中央で折衝が起こるが、上の第4図の▲6五桂と跳ねる手が非常に厳しく、わかりやすく優勢になった。

 以下△5五歩には強く▲同角(勢い余りすぎたような気もしていた)と取り攻めが続く形に。そのまま優勢を拡大して下の第5図。

 

この金打ちは自分でもびっくりした。脳がバグっている。飛車は取られないものだとなぜか勘違いしていたが普通に飛車がタダである。よくよく見れば飛車を取られても▲4二と、とするぐらいで勝ちではあるのだが、飛車を取られてしまったことへの動揺が隠しきれずに悪手を連発し、このまま玉を上に逃がしてしまう。あまりにひどい。

 以下は何とか入玉しきられないよう必死に抵抗して第6図。


堂々と取られるのが一番嫌だったが以下△4五銀▲同金△同金▲1七歩△同玉▲3九馬(第7図)となり、入玉を阻止しつつ自陣の駒を一掃できる形になった。こうなるとわかりやすい。以下は若干グダグダしつつも寄せ切って勝ち。

あまりにも怪しすぎる将棋だったがなんとか勝つことができた。都立大としては六勝一敗で勝ちとなった。単純に勝っただけでなく六勝することができたのも大きい。

 第四戦 筑波大学戦

 私の対局相手は松元氏。昨年度の春季団体戦でも対戦しその際は私が勝利を収めた。その後は交流戦等で何度も対局する機会があり、袖飛車の対策をかなりされていそうな気がしたので今大会初の四間飛車を採用。

 なお、対局直前に今回も味噌を持っているんですねと言われた。味噌の本来の目的である相手に圧をかけるという目的を失いつつあるような気もする。

 以前四間飛車をやった際、持久戦調だった記憶があったので、今回もそうだろうと高をくくってなんとなく駒組みをしていた。その結果急戦が全く持って受からず大作戦負けになってしまった。

 何とかならないか苦心しながら第8図。(なお符号は先後反転)


明らかに作戦負けである。急戦が全く受かっていない。ここで△6六銀と普通に出られたら負けだと思っていたが、△6四歩と力をためてきたので、▲5五歩としてこちらもある程度勝負できる形になった。以下何とか手を作って第9図。



 ▲5三銀打に対して△5一金打と受けた局面。以下▲5二銀成以下千日手になったが、軽く検討してみると▲5五桂からこちらが優勢になっているらしい。序盤からあまりに苦しかったので千日手になるなら十分だと思っていたがもったいなかったらしい。とはいえ、そんな手は全く見えていないうえ、相手からの自玉への寄せがわかりやすすぎるので回避する手順は特に考えていなかった。

 千日手になったのち、こちらは心機一転袖飛車を採用。見るからにお相手の手が早かったので対策されているようで嫌だった。以下進んで10図。



△8六角と出られ、普通に▲8七歩と打ったが角を切られて△3五金と打たれると飛車が死んでいる。その手順をうっかりしていた。自陣は特に飛車に強くない形であり、以下は苦しい形勢になってしまった。ここは▲8三歩から飛車を抑え、▲3五歩とするぐらいだった。なお、このあたりでほかの対局はすべて終了しており、この対局を残すのみだったが、周りの雰囲気から明らかに勝敗は既に決まっている様子だった。大学の勝敗に関係しない対局ではあったが、なんにせよちゃんと指すほかない。この後はなんとか怪しくしようとするが優勢を拡大されてしまって11図の形に。

△5八馬に対して▲7七玉と逃げた局面だが、ここで△6八馬とされるとぴったり詰んでいる。▲同玉には△7八金から、▲8八玉には△7七金から詰み。しかし、一手三十秒では読み切れなかったか。以下何とか上部に脱出することができて勝利。千日手局も含めてどちらも負けたような将棋ではあった。

大学としては三勝四敗で敗戦。もう一勝すると残留がかなり固くなるところだったので勝ちたい対戦だった。とはいえ三勝できたので最低限か。

第五戦 学習院大学戦

 学習院大学はここまで全敗。とはいえ実力者ぞろいの大学であるため全く油断はできない。ここで敗北してしまうと残留が一気に怪しくなってしまうので、何としても勝ちたいところ。

 私の対局相手は渡邊氏。昨年度の春季個人戦においてベスト8に入っている強豪である。私の対局結果がかなり重要になると認識していたので気合を入れて臨んだ。前局があまりにも長引いたため対局終了後すぐの対局となったが、疲れを感じることはなくかえって集中できているような気がしていた。

 戦型は完全な力戦になった。中央を制圧され、気分は悪いがこちらのほうが囲いは固いためいい勝負だと思っていた。三筋に飛車がいたままでは方針が難しく、二筋に飛車を振りなおして下の12図になった(便宜上先後反転)。

こうなると完全に相居飛車である。袖飛車党のプライドなんてものはありません。以下▲4五歩と突いていったが、十字飛車があるためこれを取り返せないのがつらいところか。8筋は怖いところだが、拠点を作れたのが大きいため局面には自信をもっていた。この後は8筋を受け流して13図。

 銀を使って2筋を受けてきた。相手からの△8六歩があり忙しい局面ではある。迷ったら攻めると決めていたため、ここで積極的に▲2二歩△同角▲4四歩△同金▲7七桂△8二飛▲7五歩として14図。

気持ちの良い角の飛び出し。銀も質駒になっており、なかなか攻めを振りほどくのは難しいと思っていた。以下ひたすら攻め続けて勝ち。怪しい将棋が続いていたので、強敵に気持ちよく攻めて勝つことができ非常に良かった。

大学としては四勝三敗で勝利。結果的に負けられない対局となった対局を勝つことができ安堵した。また、初めての団体戦となる一年生が四勝目を挙げ、本人にとってもかなり自信になったのではないだろうか。

この対局の結果都立大は三勝目を挙げ残留が確定した。降級の危機だと思っていたので無事残留が確定し安堵した。ただ、残り二戦は他の大学に全勝している日本大学と中央大学であるうえ、仮に二連勝しても昇級が確定しないという状態であり昇級は絶望的といっても良い状態ではあった。

 第六戦 日本大学戦

 今年も強力な一年生を加え圧倒的な選手層を誇っている日本大学。誰と当たっても厳しい戦いになると思っていた。

 私の対局相手は鈴木氏。鈴木氏はここまで五連勝しており全勝対決になった。これまで対局経験はなかったので個人的に対局を楽しみにしていた相手だった。

 戦型は対ツノ銀雁木に。お相手の指し手があまりにも早く、時間差をつけられていたのが気になっていた。こちらは前局同様攻めの幅を広げるため、飛車を二筋に戻すことを目指す方針を取った。自分から目指しておいて言うことではないが、飛車が3六にいる形は角打ちに非常に弱く、形的には2六に飛車を置いておきたいところ。三筋を突き越せているので手損は気にしないスタイルである。先述したように飛車が不安定であるため、その瞬間仕掛けられた局面が以下の15図(先後反転)。


 銀や桂馬を渡すと飛車が詰んでしまう形である。しかし、この場合は素直に応じたのちに▲4五歩と突くのが飛車の可動域を広げつつ玉頭を攻撃する一石二鳥の手になる。その後少し進んで16図。

こう進むとひたすら4三の地点に駒を打ち込んで攻めていくのが厳しく、優勢を意識した。以下執拗に4三の地点を狙って攻めていき勝利。若干終盤怪しいところもあったが何とか寄せ切ることができた。

 全体としては二勝五敗で敗北。層の厚さの違いを体感した。我々も見習っていきたいところだ。チームは負けてしまったが、個人としては六連勝しており次勝利すれば全勝となる。

第七戦 中央大学戦

 中央大学とは昨年度の春秋ともに対戦しており個人成績は二敗しているので、苦手意識があった。この勢いのまま勝利し苦手意識を払拭したいところ。なお、時間がかなり押していたため、この対局から持ち時間が10分切れたら20秒に時間が変更された。

 私の対局相手は野澤氏。昨年度の秋季団体戦A級で私が敗北した相手であり、強敵が来たなと思っていた。また、彼とは親交があり、以前都立大の部室に招いたこともある。何度も対局していたのだが終盤でまくられる印象があり、気の抜けない相手だと思っていた。

 昨年度の団体戦で袖飛車をしてひどい負け方をした記憶があるため、筑波大学戦に続き四間飛車を投入。時間が短いこともあって王手のかからない穴熊が強いのではないかという考えもあった。のんきに穴熊を目指し、仕掛けられて以下17図(なお先後反転)。(書いているなかで思ったのだがあまりにも後手を引きすぎている。ひたすら局面の反転を強いられておりどこかでミスをしている気がしてならない。もし見つけても気にしないでほしい。)


この歩突きに対して▲同歩とすると角交換ののち馬を作られてしまう。持ち時間が10分しかないのにここでほとんど持ち時間を使い切って考えた。仕掛けられて悪い気がしていたが、ほかの選択肢で勝てる気がしなかったうえ、もしかしたら仕掛けてこないかもしれないと思って穴熊に潜った。そんな甘い考えをしているうえにここで長考に沈んでいるのはバカらしすぎる。以下▲2八銀△6六歩▲同飛と進んだが、うまく攻めをつなげられてしまって全く自信のない展開になってしまう。ただ穴熊は健在であり、穴熊の暴力で何とかならないかと思っていた。というか思うしかなかった。少し進んで以下18図。


一方的に角を打たされた上に端を詰められて自信がなかったが、この桂馬が打てたことで自信が出てきた。銀取りであるうえ1筋に歩を連打すれば手順に端を緩和できて自玉が安全になる。まだまだ難しいが、両者秒読みに入りかけており、一手20秒では勝ちやすい展開だと思っていた。その後上の19図の局面になったが、桂馬まで回収できそうなうえ穴熊の遠さが生きる形になった。その後は玉の遠さを活かして勝ち切った。一手20秒というあまり経験のない持ち時間ではあったが、間違えにくい局面にすることができたのが勝因だろうか。ただ、筑波大学戦と同じく序盤で大きく作戦負けしており、序盤の勉強不足が露呈してしまった。

大学としては2勝5敗で敗北。両昇級校に層の厚さの差を見せつけられる結果となり、昇級にはまだまだ力不足だと実感させられた。

何はともあれなんとか7戦全勝を達成することができた。個人としては昨年度の52敗が最高成績だったので最高の成績を残すことができたことは自信になった。また、オーダーの都合上強敵との対局が多かった中でしっかり勝つことができ、それが今回の大学としての結果につながったと思っている。

秋季はまたB1級での対戦になる。私自身が今回のような成績を残せるよう努力するのはもちろんのこと、今回初めての団体戦となった一年生含め部全体として切磋琢磨し合い、昇級できるチーム作りをしていきたいと思っている。

 

長文にはなりましたが、最後まで目を通していただき感謝申し上げます。今後も不定期にはなりますが活動報告等をこのブログにて行っていきたいと思っています。また、今年度も11月に行われる大学祭にて部誌の販売を予定しております。部員との対局も行う予定ですので是非お気軽にお越しください!

中根

2025年度春季団体戦B1級振り返り(中根)

   こんにちは、四年の中根です。  今回は先日行われました春期団体戦 B1 級の振り返りを書かせていただきます。  結果は三勝四敗で五位となり、残留となりました。都立大は私が入学以降ひたすら昇級と降級を繰り返しており、四年目にして初の残留を経験しました。昨年度から主力が...