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2024年8月6日火曜日

東日本選抜トーナメントの振り返り(中根)

 

こんにちは(挨拶)

都立大将棋部部長の中根です。今回は先日行われました東日本選抜トーナメントの振り返りを書かせていただきます。

 

 東日本選抜トーナメントは春季団体戦における各リーグの昇級校(C2級からは1校)と、A級残留校(1位、2位を除く)がトーナメントを行い、上位2校が東日本大会への出場権を得る。また、A級残留校はシードになる。本校は春季団体戦においてA級へ昇級したため、本トーナメントへの出場権を獲得した。

 この東日本選抜トーナメントの大きな特徴に5人制で行う、というものがある。都立大は他大学に比べてあまりに少数精鋭のため、7人制と比較してより力が発揮出来ると踏んでいた。

本来はA級校がシードで二回戦からの登場になる予定だったが、横浜国立大学、高崎経済大学、群馬大学の三大学が辞退となり、合計八校になったため位置が確定しているA級校以外で抽選を行うことになった

シード校以外の組み合わせは抽選で決めることになる。シードの都合上、左の山に入ると本命の慶應義塾大学との衝突は避けられず、右の山には昨季A級残留校の東京工業大学、一橋大学との連戦はほぼ確定という状況であった(下図参照)。ただ、慶應義塾大学が頭1つ抜けて強いため、右の山を引きたいと思っていた。

2024年度東日本選抜トーナメント表


しかし、そんなことを言っていたからなのか、無事左の山を引き当ててしまう。逆に言えば、慶應義塾大学に勝ちさえすればいい、とも言えるため、厳しい戦いにはなるが何とか勝ち抜きたいと思った。

 今大会だが春季団体戦の反省を生かし、味噌を全員分用意した。この味噌については2024年度春季団体戦の振り返り(中根)での「五回戦・筑波大学戦」で触れているため、わからない方はそちらに目を通していただきたい。東京農業大学の方から味噌について聞かれたが、何かと聞かれても我々もよくわかっていないので説明が難しい。しいて言えばお守り兼飲み物だろうか。

 

一回戦・東京農業大学戦

 

東京農業大学は昨季B1級に昇級した大学であり、侮れない相手だと感じていた。昨年度のB2級団体戦では四勝三敗と接戦だった。実は大会前日に交流戦で東京農業大学の方と会った際に「都立と慶応には当たりたくない」と話していた。見事どちらも引き当てていて、言霊は存在するのかもしれないと思った。

初戦は森谷氏との対局となった。昨年度のB2級団体戦の都立大との対局にも相手の方は出場していて、当部の部員が敗北していた。仇討ちのような気持ちで臨んだ。

なお相変わらず袖飛車のみを採用しておりますのであしからず。

第一回戦_東京農業大学


戦型は対三間飛車となった。三間飛車の4二金型は鈴木大介九段がYouTubeで紹介していたからなのか、最近になって相手にする機会が非常に増えた。最も慣れている戦型でもあるため、特に苦手意識は無い。



相手は△3三金から△2四金と、金で抑え込みにかかってきた。この形は抑え込む能力は高いが、何かと相手の金が遊びやすい形のため、まずまずだと思っていた。こちらの陣形は地下鉄飛車にするなどの発展性があり、ゆっくりした展開になればこちらが良くなる。そこで相手は▲4五歩と仕掛けてきた。以下は▲2二角成△同飛▲4五銀と進んだ。(下図)



これに対して△3五金には▲3七飛で大丈夫だと判断した。その後、相手は銀を取ることができない。実戦は以下△同銀▲3一飛成△4四角▲4三角と進んで勝ち切った。最後まで相手の2四の金が負担になってしまったのが苦しかったか。

以下は全体の結果である。

中根○―●森谷

森田○―●樋口

松村○―●櫻木

鎌田●―○當銘

高橋○―●川村

4-1で勝利となり、いい流れで二回戦に進むことができた。

 

ちなみに一回戦の結果だが優勝筆頭候補だと予想していた慶應義塾大学に対して中央大学が2-3と接戦を繰り広げていた。慶応義塾大学は主力の嶋村氏を欠いていたが、それでも頭一つ抜けて強いと認識していた。中央大学が接戦を繰り広げていたのに影響を受けて、自分たちも頑張らなくてはいけないと感じた。

 

二回戦・慶応義塾大学戦

 この対戦で勝ったほうが東日本大会への出場権を獲得する大一番である。

この対局が始まる直前、私が袖飛車党と知っているからなのか、袖飛車の対策を伝授されているような様子が目に入った。どんな対策が飛んでくるのか楽しみにしていた。

 二回戦は荒木氏との対局となった。荒木氏は元奨励会員であり、手ごわい相手だと思っていた。荒木氏は一年生なのだが、それ以外にも慶応義塾大学は一年生が多すぎる。我が都立大は主力の高齢化が顕著なのでうらやましい。



※便宜上先後反転

この△6四銀が相手の工夫。よくあるのは△4四銀と上がって銀対抗に組む手だ。それと比較して、3筋が弱くなる代わりに、こちらから▲7六歩と突きづらいという意味がある。この形は大昔に軽く検討したことがあったが、対面で指されるのはこれが初めてだったため、細心の注意を払いながら戦いを起こした。以下▲3五歩△5五歩と進み下図。



ここでの手が難しかった。▲3四歩、▲7六歩など有効そうな手がさまざまある。ここで私は▲3六飛とした。この手は△5六歩と取られて拠点を作られることを嫌った意味がある。次に▲2六飛があるため△5二飛の一手だが、そこで▲7六歩とすれば、単に△5六歩とする手には角交換してから▲3四歩がある。しかし、実戦では▲7六歩に対して先に△3五歩▲同銀を入れてから△5六歩と取り込まれ、3五にいる銀が遊ぶ形になってしまい、作戦負けになった。

ここでは▲3四歩と取って、▲3六飛~▲3七桂の形を目指すべきだった。5筋に拠点は作られるものの、こちらの駒の働きが良いため互角の勝負だっただろう。

このあたりではっきり作戦負けと認識したため、手元に置いてあった味噌を手に取って味噌を直飲みしようとした。チューブタイプのどう考えても飲むことが想定されていない形状のため、なかなか出てこず苦しみながら口にした。しょっぱかった。知ってた。

少し進んで下図。



飛車と角の交換になった局面。ここも非常に手が広く難しい局面だった。実戦は▲4五角と打って5四の歩を守りつつ、相手からの△2八飛を受けた。以下△3二金▲7七角と進んだが、そこでの△3三桂(下図)が当然だが想定していたよりも厳しかった。




これには▲3六角と引けば大丈夫だと思っていたが、次の△5六飛を軽視していた。

▲3七歩と受けるようでは△7六飛と回られて完封ペースだ。この後は無理やり銀損で手を作りに行ったが、冷静に対処されて負け。

戻って▲4五角と打った局面では、▲1六角(下図)と打つ手が最善だったようだ。全く見えていない手だった。



△3二金と受けると▲3四銀と遊んでいた銀が活用できる。まぁそれでも互角なのだが…。そもそもこの角を打てなければいけないような局面にしてしまったのが良くなかった。

この対局は序盤で時間を使いすぎてしまい、中盤の勝負所で時間の余裕がなくなってしまった。経験の少ない場面の時間の使い方については再考しなければならない。

全体の結果は以下のとおりである。

中根●―○荒木

阿部●―○山口

森田○―●堀内

松村○―●石野

高橋●―○鈴木

二勝三敗で敗北となった。あと一勝といえば惜しいように感じるが、その一勝は簡単に覆せるようなものではないと分かっている。大学全体としての実力向上が不可欠だろう。

 

今回の団体戦では敗北してしまいましたが、筆者である中根と、松村、森田の三名は東日本大会に関東選抜として出場する予定です。団体の悔しさを晴らせるよう精進いたします、応援のほどよろしくお願いいたします!

乱文ではありましたが、ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

宣伝になりますが、11月上旬に行われます本大学の大学祭において、当部は部誌の販売と対局を行う予定です。私以外の部員の書いた自戦記や、私がブログに投稿した振り返りに肉付けをし、より赤裸々に書き直した完全版等を掲載する予定ですので、興味のある方は手に取っていただけると幸いです。

2024年5月21日火曜日

2024年度 秋季団体戦B1級_部長振り返り

2024年度秋季団体戦B1級_部長振り返り

 こんにちは(挨拶)。将棋部部長の中根です。先日行われました春季団体戦B1級について自分の対局を中心に振り返っていきたいと思います。

 

 

昨年度の春季団体戦B1級では7人ぎりぎりで出場し、力及ばず降級となってしまった。秋季個人戦では全勝で昇級することができ、その流れのままA級昇級を目指して今大会に臨んだ。今年度は我が都立大の不動のエースである某M先輩のラストイヤー(多分)となるため、今年こそはA級に上がらなければならないと意識し、例年より厳しく将棋に打ち込んできた。四月には新入生も加え、歴代最強クラスの戦力を抱えこの大会に臨むことになった。

以下は初戦から順に振り返っていく。なお、私は全局袖飛車を採用しているため、戦型については相手の戦型のみを紹介する。なぜ袖飛車をやっているのか、なんていう愚問には回答しないのであしからず。

 

一回戦・日本大学戦

初戦は日本大学との対戦。前回大会はA級に在籍していた大学であり、いきなり気が抜けない当たりだった。昨季昇級したばかりということもあり、午前中から昨季A級校とあたるという厳しい条件であったが泣き言を言っている場合ではない。

日大戦 局面


上図のように進行した。四筋に歩を垂らすことができ、方針がわかりやすくなった。以下勝勢になったものの都立大直伝の素晴らしい寄せを披露して怪しくしてしまった。ただ、結果的にはなんとか勝ち切ることができた。チームとしても五勝二敗で勝利し、幸先の良いスタートを切ることができた。

余談ではあるが対局前のオーダー交換の際に「人がいっぱいいていいなぁ」という相手からの声が聞こえてきた。いつもこの文言を言う側だった我々が言われる側になったことが少し感慨深かった。

 

二回戦・学習院大学戦

一回戦の日本大学と同じく昨季までA級に在籍していた大学との対戦だった。昨年度は三勝四敗で敗れており、リベンジの意味合いもある対戦である。昨年対戦した方々がほとんど残っており、気が抜けない相手だと感じていた。

学習院戦 局面 対三間飛車

対三間飛車という私の知っている将棋の中で最もオーソドックスな戦型になった。上図において少考の末うろ覚えで▲4六歩と突いたが、普通に▲3三歩と打つべきだった。

△同角で戦果が微妙だと思っていたが、▲2三銀成△3一飛▲3四歩から角が死んでいる。単純に勉強不足であり、このようなチャンスを逃さないようにしたい。

学習院戦 局面2


その後は問題なく優勢を拡大し、▲5五角(上図)と出た手が絶好で桂馬を取ってしまえば▲7四桂が残って収集困難である。その後はこのまま押し切って勝利し、チームとしても五勝二敗で勝利となった。厳しい対戦となると考えていたため、ここを五勝二敗で切り抜けられたのは大きな自信になった。

 

三回戦・千葉大学戦

千葉大学は昨年同時にB2級に降級し、同時にB1に昇級したため、勝手に仲間意識を抱いていた。昨春は負けて降級につながったため昨年の借りを返したいところである。

千葉大学戦 局面

※便宜上先後反転

千葉大学戦は袖飛車対中飛車になった。個人的に対中飛車は非常に苦手な戦型であり、△5六歩におびえながら指していた。いつでも△5六歩があるのはずるいですよ中飛車さん。桂馬の活用が見込めそうではあるが玉が薄いので慎重に指していた。ここで相手から△5六歩(上図)と開戦してきた。以下角交換ののち▲5六飛から▲4五桂と飛車と桂馬が一気に活用でき、優勢を意識した。その後玉頭戦を制して下図。

千葉大学戦 局面2

ここで▲6三銀打が決め手。△同銀▲6五馬△同歩▲8三銀△7一玉▲6三桂不成△同龍▲5三角と進んで以下詰み。このような優勢の局面からグダグダさせることに定評があったのでしっかり決めきることができてとても良かった。とてもギャラリーが多かったので何事かと思っていたが、これが三勝三敗で残った一局だったらしい。これは前々から思っていたことだが負けるときはあっさりで、勝つときはグダグダしがちなため、特別勝率が良いわけではないのに三勝三敗で残って四敗目を喫したことがない。勝負強いということにしておきたいところだ。

三戦目終了時点で全勝の大学は都立大だけになり、本格的に昇級が見えてきた。しかし、四戦目の相手は一敗の法政大学であり気が抜けない対局が続く。

 

四戦目・法政大学戦

法政大学は事前の想定で非常に戦力が高いと認識していた。総合的なレベルが高く、穴がないためオーダーには苦心した。また、法政大学には日ごろお世話になっている強豪の袖飛車党の方が在籍しているため、全体的に袖飛車耐性がついているような気がして嫌だった。私の相手は強豪の方になると想定していたが、法政大学に勝つためには自分が勝たなければならないと心を奮い立たせ対局に臨んだ。

法政大学戦 局面

上図は序盤ではあるが、いきなりこの▲8七歩がセンス×。相手の△3二銀を見て、後輩に蹂躙された記憶がよみがえり、工夫して早めに角道を開けたせいで横歩が取れる。相がかり的感覚では歩を打ってはいけないと対局後味方から指摘を受けたが、何も言い返すことがない、横歩を取ってくださいと言っているようなものだ。相がかりとか一局も指したことがない非国民なんですごめんなさい…。以下順当に横歩を取られ盛大に作戦負け。ここで飲み物と一緒に置いていたお揃いでお守りの味噌(後述)をおもむろに手に取り相手を動揺させようとする秘策を繰り出す。しかし相手はそれに目もくれず動じない。これは強い、苦しい。なんとか勝負形っぽくして最後のチャンスは下図。

法政大学戦 局面2

この▲3四歩が大悪手。ここは▲2五桂から詰みがある。なんですかこの歩は。詰みが見えていなくてもせめて桂馬を打てという話だ。以下逃げられて負け。しかし、相手の逃げ方によっては全く詰みがなかったのでそもそも負けなのである。序中盤で評価値以上に勝ちづらい局面になってしまった。相手と比べて単に力不足だったと言わざるを得ない。

これがチームとしての四敗目になってしまった。単純に一敗をしたということもよくないのだが、昇級争いのライバルである法政大学に一勝をつけてしまったという面もあり、二重の意味で良くない結果だった。

この敗戦により昇級争いは主に中央大学、法政大学、そして東京都立大学の三大学の争いになった。

 

五回戦・筑波大学戦

筑波大学とは昨年度にオンラインで交流戦を行った。私自身は所用で参加ができなかったのだが強豪を多く抱えていて、全く油断できない相手だと認識していた。この対局直前に机上に先述の味噌を出すと、相手に怪訝そうな顔をされ、凝視された。言及されたら負けだと思っていたが特に触れられなかったので耐えである。私は気づかなかったが、他大学の観戦者にたびたび凝視されていたらしい。ちなみにこの味噌だが、金沢大学のカルピスの原液のような相手に圧のある飲み物を、という理由で採用された逸品である。なお直前で採用が確定したため三人分しかない。386円もした、高い。なお結果報告のツイートの集合写真にも盛大に映り込んでいる。

筑波大学戦 局面

※便宜上先後反転

戦型は普通の雁木…かと思っていたが上図での△5五歩が初見の一手、正直普通の雁木には経験値の差で負ける気がしていなかったので、このような力戦になるのは少し嫌だった。ここで引いていては勝てないので▲同角△5三金と進み完全力戦となった。以下相手の手を的確に咎めることができ、銀得に成功して下図。

筑波大学戦 局面2

秒に追われて何も見えなかったため、適当に銀を打ち込んだ局面。普通に取られて何があるのか何もわかっていなかったが、圧により△8四飛と浮かせることに成功。以下押し切って勝ち。毎度のことで慣れっこではあるのだが、一日七戦というハードな日程のためこのあたりで疲労が隠しきれなくなってくる。この対局中も自分が何を考えているのかよくわからないまま指しているところがあり、形勢以上に危ない対局になってしまった。チームとしては四勝三敗で勝利。他校との昇級争いの兼ね合いでできる限り勝ち星が欲しいところだが、負けてしまっては元も子もない。

 

六回戦・中央大学戦

この段階で中央大学、法政大学、そして我が東京都立大学が四勝一敗で並んでいるため、この中央大学戦の勝敗が昇級の是非に大きくかかわる文字通りの大一番だった。ここでなんとしても四勝をつかみ取るため、自分と相手の主力のとの衝突を避け、少しでも勝つ確率が高いと踏んだ六将での出場をすることを決断した。しかし、少なくとも私の入学以来、中央大学とは団体戦での対戦経験がないこともあって情報不足で、この判断が本当に勝率を高めるのかは謎のままだった。

相手の主力をよけたと前述したが、もちろん六将の方も強豪であり私の対局結果が重要になると認識して対局に臨んだ。

結果から言うと負けだった。しかも全くと言っていいほどチャンスがない負けだった。最終的にはほぼ全駒されているレベルだった。

中央大学戦 局面

一応言い訳を書き連ねておく。△4三金、△5三銀型という勉強を後回しにしていた形に組まれ、序盤から長考を余儀なくされてしまった。上図の局面で少し時間を使ったが、▲3五歩は無理と判断し、持久戦調に進むことを決断(検討の結果この局面での▲3五歩は成立していたらしい、勉強不足だ)。しかし、ここで一つ誤算があった。自陣の囲いがエルモ囲いなのである。以前軽く検討をした際は金無双の形にしていたため、ここから地下鉄飛車にするという構想があったが、それができない。そうこう考えているうちに時間が無くなり、なんとなく駒組をした結果飛車、角と順々に取られていき完敗。今までの将棋人生で一番ひどいレベルの負けだった。並べる価値もない。自分をずらしてまで一勝を取りに行ったのに完敗するというまごうことなき戦犯であり、本当にチームに申し訳がなかった。

終了後残っていた味方を応援していたが、どちらも終盤のねじり合いで勝ちきれず三勝四敗で敗北となってしまった。先ほどの法政大学戦と同様に中央大学に負けるということは、都立大に負けがつくだけでなく、中央大学に一勝をつけてしまうという二重の重みがある負けであり、この結果によって中央大学はほぼ昇級が確定、たいして我が東京都立大学は窮地に追い込まれた。このときの唯一の救いは最終戦に昇級争いをしている法政大学と中央大学の対戦が残っており、どちらかが二敗することが確定していることだけだった。

 

以下は少し複雑な話になるのだが、昇級条件の理解は非常に大事なのでぜひ目を通していただきたい。できるだけ丁寧に説明をするよう努力しているが、どうしても複雑になってしまうことを承知の上読み進めていただければ幸いだ。

この段階での勝敗、勝ち点は以下のとおりである。

中央大学:五勝一敗、勝ち点29

法政大学:五勝一敗、勝ち点26

東京都立大学:四勝二敗、勝ち点24

そして、この段階で都立大が昇級をするためには最終戦で勝利をしたうえ、中央大学と法政大学の対戦で敗北した大学の勝ち点を越えなければならない(なお都立大は昨季B2から昇級のため他に大学と比べて順位が低く、勝ち点が同数だと昇級できない)。

まず、中央大学が敗北した場合はそもそも中央大学が一勝六敗以下で敗北していることが前提の上、都立大が最終戦で七勝(一勝六敗の場合)もしくは六勝(〇勝七敗の場合)が必要になる。非常に厳しい条件だ。

そして、法政大学が敗北した場合は、三勝分以上勝ち点を詰めなければならない。仮に最終戦で法政大学が二勝五敗で敗北したとすると、都立大は五勝二敗以上が必要になるということだ。

どちらも厳しい条件には変わりないが、後者の、法政大学が敗北した場合のほうが現実的なことがわかると思う。しかし、余裕のある大学は最終戦にまだ今回の団体戦への出場がなかったり、少なかったりする選手を経験のため出場させることが十分にありうるのだ。中央大学は最終戦で二勝以上すれば昇級が確定するので実力者数名に経験のための選手を混ぜるだけでいいのである。これは批判でもなんでもなく、自分がオーダーを考える立場になって実感した「大会に参加してくれた全員を出してあげたい」という気持ちの表れである。私が中央大学と同じ立場でもその選択をしていたと思う。でも、自己中心的かもしれないけれど中央大学には全力を出して戦ってほしかった。それは中央大学が強いことを六回戦で実感したのと同じように、法政大学も非常に強い大学だということを実感したからであろう。レギュラーを抜いて勝てるような相手ではないということを法政大学に敗北した我々は痛いほどわかっていた。

現実は厳しかった。最終戦直前には隣にいた中央大学の集団から「最終戦出たい人いるー?」というおそらくオーダー決めをしている方からの声が漏れて聞こえてきた。その瞬間、望みが断ち切られたような気持ちになった。ただ、もう我々にできることは中央大学を陰ながら応援しつつ、最終戦の埼玉大学に全力でぶつかることだけだった。

正直なことを言うと自分はもう、諦めてしまっていた。チームのメンバーには申し訳ないが、昇級条件が非常に厳しいことを理解し、不可能だと思い込んでいた。中央大学が法政大学に勝つことも、都立大が埼玉大学に大差で勝利することも。この戦力でダメならしょうがないという思いもあった。ただ、逆に吹っ切れられたのかもしれない。最後はいい将棋を指して終わろうとだけ考えていた。その思いを神様は見ていてくれたのかもしれない。

 

七回戦・埼玉大学戦

埼玉大学は私が入学して以来、団体戦で対戦することがとても多い大学であるだけでなく、交流戦等様々な場面で対局することがあり、互いに手のうちが知れている大学でもある。昨年で主力が卒業し、戦力的には多少ダウンしたものの、実力者が数多く在籍しているため、大差で勝つことは簡単なことではない。

私の相手は私自身の対戦経験はないが、今までの団体戦で幾度となく対戦した実力者の方で、大事な対局になると思っていた。

戦型は対三間飛車。最も経験があるといってもいい戦型だ。相手の飛車先を伸ばしていく構想が新鮮で、対応に苦心した。ただ、冷静に対応することができゆっくりと優勢を拡大することができた。そして下図。

埼玉大学戦 局面

※便宜上先後反転

この△2五桂と跳ねる手を見落としていた。馬金両取りで焦って▲3四馬から飛車の取り合いをした。検討の結果、ここは落ち着いて▲2五歩と桂馬を取れば優勢を保てていたようだ。自分の秒読みでの手の見えなさを嘆いた。ただ、まだ悪くなったわけではない。その後進んで下図。

埼玉大学戦 局面2

ここで△6一金打とされたら完全に千日手だ。打開するすべを探していたがどれもパッとしない。検討の結果、ここは千日手にするほかないようだ。実戦では長考の末相手から△4九飛と打開してきて結果的に一手勝ちになった。打開される手も読み切れておらず、自信があったわけではなかったが、何とか受けきることができた。対局終了後も最終盤の感想戦を長々と行っていた。玉桂が薄い将棋の受けはまだまだ経験不足で非常に勉強になった。

などとゆっくり将棋を楽しんでいたところに後輩から「都立大、昇級です」と言われた。自分は最初何のことだかわからなかった。冗談でも言っているのかと思っていた。感想戦に夢中で周りの様子がわかっておらず、埼玉大学戦の結果がどうなったのかということすら把握していなかった。

その後伝えられたのは法政大学が中央大学に三勝四敗で敗北し、我々都立大が埼玉大学に六勝一敗で勝利したということである。前述したとおり、法政大学が敗北した場合、三勝分以上勝ち点差を詰めれば昇級が確定するのだ。埼玉大学戦で六勝を挙げることができ、都立大の勝ち点が30、法政大学が29となり、ギリギリ昇級条件を満たしたのだ。奇跡だとしか思えなかった。

にわかに信じられなかった。入学して以来の自分が、そして今までの歴代の先輩方が目指し、そのたび跳ね返されてきたA級に届く日が来るということが。東京都立大学が最後にA級に昇級したのは平成13年、23年前のことになるそうだ。長い間到達できず、一時は部の存続の危機まであった都立大将棋部がA級に到達できたこと、そしてそれを自分たちの代で達成できたことがとにかくうれしかった。たった勝ち点1の差で昇級となったが、それぞれが必死になって勝ち取った一つ一つの勝利が意味を持つ、全員で勝ち取った昇級だったと思う。

私は入学後三度目のB1級団体戦となった。二年前、初めての団体戦では多少の期待を受けながらも盛大に負け越して降級。昨年のB1級団体戦では7人で必死に戦ったが後一勝が遠く降級。B1級での団体戦に良い思い出がなかった。今年度が過去類を見ないほどの戦力だとわかっていてもなお、本当に自分たちが昇級できるのかということには疑問を持たずにはいられなかった。

私は今まで団体として今回のA級昇級のような大きな成果を上げた経験はない。高校時代も将棋部に所属し、団体戦にも出場したが結果を残すことができたのは個人としてだけだった。遠征先で団体の代表チームと同部屋になり、仲間たちとともに団体として大会に出ることへの憧れを抱いたこともあった。もちろん個人として成果を出せたこともうれしかったが、団体で好成績を残すことに比べればちっぽけなものだったと思わざるを得ない。

ここで個人としての振り返りをさせていただく。私個人の戦績としては五勝二敗であった。基本的には七将での出場で勝ちを稼ぐ役割であったので、せめてもう一勝は取りたかった。しかも、負けた対局は勝負どころの上位校との対局の四敗目となってしまった。勝ちを期待される中で落としてしまった自分の勝負弱さが招いた結果だと認識している。また、自分の秒読みの弱さが浮き彫りになった。何かと理由をつけて24をサボっていたことが、今の自分を苦しめていると思う。

今回のオーダーについてはほかの部員とも相談しながら考えた。うまくはまらなかったり、読みを完全に外してしまったりすることもあった。また、展開が展開のためしょうがない面もあるが一回も出すことができなかった部員もいて、オーダーを考える能力はまだまだ未熟だと痛いほど理解させられた。

今回、全勝者が二名、チームにいてくれたことが非常に大きかったが、彼らに頼るだけでなく、自分ももっと安定して勝てるようにならなければならないと強く思った。ただ、結果として勝ち越し者が自分含め五名と、昨年とは見違えるほど層が厚くなったと思っている。

少し先には東日本大会の団体予選、そして秋にはA級の団体戦が控えている。A級で十分に戦うにはまだまだ実力不足だと感じているため、まずはA級の残留を目指して努力を重ねていきたい。

 

 

もはや論文かというレベルの長文になってしまいましたが、ここまでこの乱文を読んでいただき本当にありがとうございます。そして、今回の大会の運営に携わってくださった皆様、対局してくださった他大学の皆様、様々な面で応援、援助をいただいたOBの皆様方に御礼申し上げます。

将棋部部長 中根遼

2025年度春季団体戦B1級振り返り(中根)

   こんにちは、四年の中根です。  今回は先日行われました春期団体戦 B1 級の振り返りを書かせていただきます。  結果は三勝四敗で五位となり、残留となりました。都立大は私が入学以降ひたすら昇級と降級を繰り返しており、四年目にして初の残留を経験しました。昨年度から主力が...